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<少年>
友人であるギリ・ジーの寺院に向かいに、いつも気になる家がある。
何が気になるかというと、門構えが良いのだ。門構えと言っても立派な物ではないのだが、ただ、植物が覆い茂って、いつ訪れても花が咲いているのが良かった。たまに、おばさん達が門の前で立ち話をしていたりするが、大抵は、しんと静まりかえった様子だった。
その日も、私はカメラを持って、ギリ・ジーの寺院へ向かった。浜辺の方で、いい写真が撮ることができずに、とぼとぼと歩いていると、いつもの門が見えてきた。やはり、花が咲いていた。少し、立ち止まって見ていると、一人の少年が向こう側から門をくぐり、すっと歩いてきた。私は、少しドキッとした。思いがけず、たたずまいの美しい少年が現れたので、その場で少年を止めて、写真を撮った。少年は、照れることもなく、ただ、そのまま立っていてくれた。
常に咲く、花の前に立つ少年。私は、何か寂しい感じがした門の前に、少年が立つことで、パズルの最後のピースをはめ込んだ時の安堵感と似た様なものを感じた。
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